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熟知性の法則

前回は記憶における3の法則を取り上げたが、一緒に覚えておきたいのが熟知性の3の法則だ。記憶における3の法則では、いかに顧客から忘れられないようにするか、という観点で重要な法則である。次に考えたいのが、いかにその顧客を優良顧客にするか、ということだろう。

そこで役立つのが「熟知性の3の法則」である。これは親しくなるための法則ともいわれるものだ。法則の1は「人は知らない人に対して攻撃的・批判的である」。法則の2は「人はその人を知れば知るほど好意を持つ」。法則の3は「人はその人の人間的側面を知った時に好意を持つ」というものだ。

これはザイオンス熟知性の法則でも同様な理論が唱えられている。これは米国の社会心理学者のロバート・ザイオンスが実験によって明らかにした心理学の法則だ。この実験とは、女子大生を二つのグループに分け、4週間にわたり、1週間に1度ずつ、男子学生の写真を見せて、好意の推移を測ったものである。片方のグループには、毎週違う男子学生の写真を、もう片方のグループには毎週同じ男子学生の写真を見せたところ、同じ写真を見続けた女子大生は、その学生に対して好意が上昇した。しかし、違う写真を見せられた女子大生には大きな変化がなかった、というものだ。

このことから単純に頻繁に会うことで、好意を抱きやすくなる傾向がある、ということが証明されたのである。これはまさに熟知性の3の法則、2と同じだ。

マーケティングにおける熟知性の法則

ではこの熟知性の法則が、どのようにマーケティングに活用されているのだろうか。広告で利用されているセブンヒッツ理論は、まさにこの法則を応用したものと言えるだろう。

広告などで7回、同じ商品に接触すると、売り場でその商品を選ぶ確率が高くなるといわれている。またTVなどで、新商品の紹介をするわけでもなく、ただ企業名だけを印象付けるようなCMが繰り返し流されることがある。これも熟知性の原則を踏まえた戦略と言えるだろう。そのため大企業はその豊富な広告費を背景に、膨大な広告を流すことで、熟知性を高め、顧客に親和性を感じてもらえるようにCMを打つのである。

ではこうした大企業の熟知性の法則を背景にした戦略に対し、中小企業はどのように対抗するべきだろうか。その一つの手が、この熟知性の法則の3つ目である。近年、ブランディングなどの効果を狙って、商品の開発話などを書籍などで出版する、ということが一種のブームになっている。これは商品を作っていく過程を通して、人間性を顧客にアピールすることにつながるのだ。また企業のサイトで社長や商品開発担当者、販売担当者などのブログが掲載されているところも多い。これらも熟知性の法則の3つ目をうまく活用しようとする戦略と言えるだろう。

ただ熟知性の法則と広告戦略に組み合わせる場合、単にそのまま当てはめれば良いというものではない点に注意しなければならない。この熟知性の法則は、受け手側が「好ましい」と思える場合、最低でも中立的な印象を受ける場合にのみ、効果を発揮するということである。

逆に「好ましくない」という印象を受けた場合、何度も「出会い」が繰り返されることで、より悪い印象を持たれてしまうからだ。例えばセールスの電話などが、忙しいときにかかってきた場合、多くの場合悪い印象を受けてしまう。その後、何度も同じセールスの電話がかかってきても、熟知性の法則にのっとって「親和性」が高まることはない。逆に「しつこい」と思われてしまうだろう。またしつこいDMなども、最初は好印象であっても、同じ内容のものが延々と続けられれば「好ましくない」という印象に変わってしまう。そうなればその後、何度もアピールしてしまえば悪い印象だけが増幅してしまうのである。

そのため熟知性の法則を活用する場合は、相手にとって不要な接触を行うと、「逆宣伝」になることを理解した上で、コミュニケーション戦略を練る必要があるのだ。

熟知性の法則

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