
プロトタイピングで継続的に改善する京セラグループ横断サイト
スマートフォン、医療機器、電動工具……私たちの身近なものにも多く使われている、京セラさんの製品。電子部品、半導体部品、ファインセラミックスなど多岐にわたる事業は各国で展開されています。
TAMはこれまで13年にわたり、京セラさんのWebサイトのアップデートをお手伝いしてきました。直近の2年では改めて「お客様を向いたWebサイト改修」を実施していますが、プロジェクトはどのように進んでいるのでしょうか?
——TAM社長が京セラさんに、聞きにいきました!
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- 京セラさん
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- 北垣良介さん/広報室 コミュニケーションデザイン部責任者
- 松田真由さん/広報室 コミュニケーションデザイン部 デジタルメディア課責任者
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- TAM
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- 爲廣慎二/代表
- 三内徹/プロジェクトマネージャー
- 豊田久美子/アートディレクター
- 藤山誠:撮影、佐藤佳穂:編集

ALL京セラ構想の実行
TAM代表 爲廣(以下、ため )
京セラさんと言えば、我々のスマホの中身など、日常を支える製品を多くつくられていますよね。
北垣さん(京セラ)
はい、主力のファインセラミックス製品だけでもこんなにあります。こちらは、製品や技術の年表です。

三内(TAM)
改めていろんな事業があるなと思います。
・・・どうりでWebでの情報整理が大変なわけです(笑)
豊田(TAM)
デザインも、いつもやり甲斐がありますよ。
ため
伝えたい情報がたっぷりやな〜。
これが「アメーバ経営*」なんですね。
北垣さん
はい、京セラの特徴で各事業部が、独立採算で経営しています。
※「アメーバ経営」・・・京セラ創業者 稲盛和夫氏の実体験から生まれた経営管理手法。京セラ発展の礎となっている。
松田さん(京セラ)
その事業部どうしの横のつながりが、長年のデジタルの課題でした。

ため
これだけ多くの事業部や製品があると、なにかを統一するのも大変そうです。
松田さん
はい、まさに…。Webサイトにおいても、事業部ごとにデザインも構成もバラバラで…
北垣さん
でもお客様からしたら事業部は関係ないです。
ため
そらそうですよね。
北垣さん
Webサイトは京セラ全体でお客様のお困りごとを解決する窓口にしたいと考えていました。
ため
「ALL京セラサイト」ですね。
松田さん
「こんなサイトにしたい」という構想はありましたが、長いあいだカタチにはできていませんでした。TAMさんは今回、設計図をもとに「家を建ててくれた」イメージです。
三内
実際に形にしていく過程では「どんな素材?」「どこから作る?」と、色々な検討をしました。

豊田
ひとつずつ京セラさんと一緒に考えて、事業部を横断した「製品の見つけやすさ」や「デザインの統一」を実現していきました。
ため
京セラさんの「理想」をカタチにしていったんやね。
合同会議よりも、9回の個別ヒアリング

ため
理想を現実にしていく過程で、大変なことはありましたか?
北垣さん
今回は、事業部それぞれのサイトに求めることを取り入れるのが難しかったです。
松田さん
Webサイトは、営業メンバーの知見が集約された場となることが理想でした。
ため
なるほど〜。その理想、どうやってカタチにしていったの?
三内
効率を考えて、一回の全体会議で、すべての事業部の要望を聞こうと思ったのですが(笑)

ため
全体会議はうまくいかなかったの?
三内
結局、1人1人とお話しました。
松田さん
似たような会議を9回も……TAMさん、つかれましたよね(笑)
三内
いえいえ、おかげで1人ずつとじっくり話せて「本音の要望」をたくさん聞けました。
多人数での会議は、自分ごとになりづらいのかもしれません。
ため
ほぅ、なるほどな〜。
豊田
お話してみると、自分たちの事業に「熱い想い」がある方が多くてビビりました。
三内
マニアックな製品を、マシンガントークで情熱的に説明してくださったり(笑)
松田さん
ちょっと濃いお話でしたよね(笑)
北垣さん
そういう京セラの事業を支えている者の想いや考えを取り入れることに、こだわりたかったのです。
ため
「自分ごととして使えるサイト」にしたかったのですね。

松田さん
はい、「社内の誰もが、営業ツールとして活用できるものにしたい」と思っていました。
ため
いろんな社内調整も大変そうです。ボクはできる自信がありません(笑)
松田さん
社内でWebの話をするときは、TAMさんの「豊田メモ」にめっちゃ助けられています。

ため
豊田さん、なんか怪しいこと、メモしてんの?
豊田
普通の内容ですよ(笑)「なぜこの矢印はこの向きなのか」「なぜこの色なのか」とか。
デザインのルール、背景や理由を「共有の辞書」のようにまとめました。
松田さん
社内で不明点が挙がっても、「それは『豊田メモ』の中に!」で解決(笑)
北垣さん
便利な「必殺道具」になっています(笑)
ため
「ただの理屈屋」でなくてよかったです(笑)どんどん使い倒してください。

松田さん
背景や理由の積み重ねが今回のリニューアルの納得感につながっていると思います。
北垣さん
できあがったサイトを見たときはゾクっときましたよ、「これや〜!」と思いました。
豊田
いつも北垣さんと松田さんの顔が思い浮かぶんです。
「失望させたくない!」と思ってデザインしています(笑)
ため
それだけ今まで、会話を重ねてきたいうことやなー!
調べてみたら「意外とできた」
松田さん
TAMさんはいつも「それはちがうと思います」とはっきり言いますよね(笑)
ため
三内さんはいつも理屈っぽいけど……京セラさんにもそうなんか?
三内
考えたことを、正直にお伝えしているだけです(笑)

松田さん
クライアントに何か要望を言われたら、私ならすぐ「はい」と言ってしまいそうです。
でもTAMさんは、納得するまで絶対「はい」と言わない。
北垣さん
「この、頑固オヤジ!」ってたまに思いますけど(笑)
ため
腹立ってきませんか(汗)
北垣さん
いえいえ、TAMさんは目線が「京セラの人」なんです。
松田さん
「京セラ目線」で意見をもらえるから、私たちも「必死で考えなきゃ!」と思います。

豊田
私たちTAMの疑問を、京セラさんも聞き流さないですよね。
松田さん
「ホンマですか?それ」と言ってると、三内さんはすぐ検証してくれます(笑)
ため
すぐに試してみる、プロトタイピングですね。
松田さん
そのおかげで、いま進行中のナビゲージョンの改修も円滑に進んでいます。

三内
巨大な京セラさんのサイトではナビゲーションを変えようとすると、影響範囲が100箇所以上ありました。
ため
それは巨大な謎解きやな。
松田さん
TAMさんと一緒に必要なピースをあてはめて、「地図」を作っている感じですね。
三内
一つずつ「技術検証」をして、道を少しずつ進んでいます。
ため
地道な繰り返しや〜。ここでも、プロトタイピング。
松田さん
検証してみたら「意外とできる!」とわかったこともありました。
話し合って、試して。その積み重ねでここまで来られたんです。
京セラを世界に伝えるための仕組みづくり

松田さん
現在、進行しているプロジェクトは、デザインガイドとテンプレートの制作です。
ため
「豊田メモ」の発展版、デザインガイドか〜
豊田
がんばっています!
松田さん
TAMさんとお取り組みを始めた13年前は、まだスマホデザインなんてなかったのに、今は考えることだらけです。
ため
デザインガイドは時代とともに進化し続けますからね。

松田さん
この13年の間に京セラもTAMさんも、どんどん後輩が増えて、お互い成長しましたね(笑)
豊田
デザインも人も、京セラさんと一緒に育っている感じがします(笑)
ため
長いあいだ、いつもありがとうございます。
松田さん
これからも私たちに「それはちがうと思います」と意見してくれるTAMさんでお願いします。
ため
そんなに「それ、ちゃいます」言うの?大丈夫かいな。
三内
僕はいつも、考えたことを正直にお伝えしているだけなんですが(笑)
松田さん
「YESマン」でなく社員のようにブレストできる存在でいてください。
ため
ありがとうございます!

北垣さん
自分らだけだと、どうしても「京セラの想い」が強く出てしまいますからね。
ため
自分らのことって、不思議と主観的になってしまいますよね。
北垣さん
「お客様にとって使いやすいWebサイト」には、自分たちの想いだけではダメなんです。
松田さん
TAMさんとはこれからも、ブレストをたくさんしていきたいです。
北垣さん
これからは「共有の場」づくりも一緒にしていきたいですね。
近況や失敗を共有して、刺激を与えあっていきましょう!
ため
いつでも呼んでください!
松田さん
京セラを世界に伝えるために、これからもよろしくお願いします!

北垣さん、松田さん、ありがとうございました!
京セラギャラリーや食堂も案内いただき楽しかったです。これからもよろしくお願いいたします。
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